研究・研究者紹介

ゲノム医療研究 研究・研究者紹介

ゲノム医療に貢献しうる研究の“今”を、特に若手研究者の取り組みを通じてご紹介するコラムです。
「推薦論文」では、研究者個人として推薦したい論文をタイプ(Exceptional, Must Read, Recommended, Fundamental)と共にご紹介いただきました。
※所属や肩書は、インタビュー当時のものです。

日本人の多因子疾患関連遺伝子の同定を目指し、大規模全ゲノム情報作成のための解析手法を開発するnew 河合 洋介

東京大学大学院医学系研究科 特任助教

ヒトゲノムプロジェクトが2003年に完了して以降、個人の一塩基多型(Single Nucleotide Polymorphism:SNPs)をSNPアレイなどの新たなテクノロジーによってゲノム規模で調べられるようになった。そして、比較的身近な疾患に共通するSNPsなどの遺伝子変異を全ゲノム領域にわたって関連解析するゲノムワイド関連解析(Genome-Wide Association Study:GWAS)が盛んになり、すでに、さまざまな疾患の感受性遺伝子が同定されている。一方で、次世代シーケンサー(Next Generation Sequencer:NGS)による全ゲノム解析も飛躍的に進んでいる。 「多くのサンプルの解析に長けたSNPアレイと、あらゆるタイプの多型情報を高精度に解析できるNGS、この両者の長所を活かした解析手法を開発し、これまでに蓄積したデータだけでなく、今後得られるデータにも使えるようにするのが目標です」と河合 洋介先生は話す。

遺伝的な多型や変異は、がんなどをはじめとする病気のリスクに影響する。しかし、この要因を解き明かす鍵となるヒトゲノム情報において、すべての遺伝的な変異や多様性が見つかっているわけではない。ヒトゲノムと遺伝的多様性の“地図”は未完成で、穴があるからだ。どこかわかっていて、どこがわかっていないかということも明確にしにくい。先行研究では充分だと思われていたとしても、地図情報として十分ではない可能性がある。
「自分たちは、シークエンスデータの新しい解析手法を開発し実験的な検証を行うことによって、その地図の穴を埋めたいと思っている。その穴にみんなが見逃している、重要な情報があるかもしれない。」と藤本 明洋先生は語る。